RYOTA YAMADA

Sunday, October 18, 2015

動物と共に寝起きする













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 動物と共に寝起きする。
 
 太陽がまだ丘の木立から昇り始めたばかりの頃、にわかに木のきしむ音が森の中に響き渡った。しかし不思議なことに一回きりでは鳴り終わらず、まったく同じ音がまったく同じ間隔で三回も続く。何かの動物が鳴いているに違いない。しかし鳥なのか、地上の動物なのか、それすらよく分からない。姿の分からぬ森の精霊が歌う。
 
 ぴーひょろひょろひょろと、高い空から見下ろしながら、トンビが朝焼けの森に鳴いている。

 アカゲラが飛んできた。紅葉もラストダンスでほぼ葉が舞い散りベールが落ちた広葉樹にとまる。こつこつと叩いてリズミカルな音を森に響かせ、朝食の虫を探し回っている。

 川岸はたいてい剥き出しの土壁が垂直に立っているが、十分ほども漕いでいるとどこかしらに砂や泥が堆積した小さな斜面が現れるので、そこにカヌーを着けて上陸することができる。そのよう場所は動物の水飲み場にもなっている。
 川を下りながらどのような動物の足跡が付いているのかつぶさに観察していると、いたる所に鹿の足跡をみかける。はっきりとした蹄の跡が分かりやすい。
 熊の足跡も気にしているが、残念ながらまだ見かけない。

 川に張り出した木の根の陰に隠れていた若い鴨が一羽、突然現れたカヌーに驚いて、ばたばたばたと水面に羽を叩きつけながら、下流方向へと飛び立ち逃げていった。君はこの川の下流にまた着水し、僕はこの川を下っているのだから、再び巡り会う運命にあるのだが。

 太陽が沈んだ方向に三日月が赤い。食器を洗うために川面に降りる小さな砂地に向かって歩いていると、がさごそと草むらが鳴った。ヘッドライトで闇を照らす。光る点が二つ。狸だった。目がくらむ明るい光束に照らし出されても、あまり動じる様子がない。動物全般にそうだが、ライトというものの存在を知らないため、人間に照らし出されていることに気が付かないのかもしれない。少しためらいがちに、しかし逃げることなく、そのあたりをうろうろと探っている。僕がじっとしていることに飽きて歩き始めると、狸はゆっくりと歩いて湿原の中へと消えていった。

 ほう、ほうほうとフクロウが星空に鳴く。


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